1. 資産科目なのになぜ借り方になり負債科目なのになぜ貸し方になるのか
簿記を習い始めた人がまず最初にぶつかる壁が、この疑問でしょう。複式簿記の起源は12世紀のイスラムだそうで、これがイタリア北部の商人に伝わりました。そのときルカ・パチョーリは経営に必要な勘定科目をいくつもつけ加えて、より完成度が高いものにしたのです。これを最も熱心に使ったのがベネチュアで貿易を専門にする船長でしたから、船長の立場で考えると「なんだ、こんなことだったのかー」と、借り方と貸し方の意味が簡単につかめます。さらにこれが解かれば複式簿記の仕組みも自然に解かってきます。
2. 効果性が高い経営システムを作るには簿記知識が必要
会社と呼ばれる組織体は粗利益で生きており、その粗利益はお客からしか生まれてきません。実際にお客を作るには、どのような商品を、どこの地域の、誰に対して、どのような方法で売るかなど、これら1つ1つをきちんと決めなければなりません。
これを「経営システム」と呼んでいます。しかし経営システムは形がなくてつかみどころがないので、はたして自分が作った経営システムがうまく作られているかどうか、さっぱり解かりません。
社長が作った経営システムの「善し悪し」をつかむ最も有力な方法が、利益性など経営分析です。このとき社長に簿記の知識がなかったら、経営システムに大きな欠陥があったとしてもこれに気付きません。ところが簿記3級程度の実力がある社長は1割ぐらいしかいないので、多くの人は事実の認識が遅れてしまいます。
この教材は簿記学校では教えてないものを中心に説明しています。簿記をニガ手としている人は、とりあえずFAXを。
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