「難しいことや困難には、それと同等かそれ以上の良いことが隠されている」という教訓があります。新型コロナで売上が減少し、経営が厳しくなっている現在、社長は、この困難をチャンスに変える方法を考えなければなりません。それが経営システムを総点検し、問題点が見つかったら思い切って大改革をすることになります。これに役立つのが、経営計画書作りと違って速効性がある、経営の総点検になります。経営システムとは粗利益を安定して作り出す機械装置、または経営プラントと考えて下さい。
1. これ迄、あの商品は利益が出なくなったのでカットすべきだと考えてはいたが、ついそのままにしている。あの地域は採算が取れてないので撤退すべきだと思ってはいたが、つい延び延びにしている。新しい営業方法を考えるため、営業の研究をやり直すべきだと思ってはいたが、ついそのままになっている。このようなことは、どんな社長でもあります。しかしこれらの先延ばしや改善の遅れが経営システムの性能を低下させ、業績が悪くなる原因になるのですから、早く手を打たなければなりません。
2. 経営システムを総点検する目的は競争力がある強い商品作りや、競争相手より多くのお客を作った1位の地域作りにあります。1位ができると従業員1人当たりの経常利益が、業界平均の2倍〜3倍出るようになります。1位作りを実現するには、自社の経営規模と競争相手との力関係を初めとして、利益性の善し悪しが決まる利益性の原則、それに弱者の戦略原則を基本思想にして、経営を構成する中心的な要因を1つ1つ点検していくことになります。
@商品を点検。1位を目ざす商品はどれにし、商品の範囲はどこ迄にするか。見込みがなくカットすべき商品はないか。
A営業地域を点検。1位を目ざす地域はどことどこにし、地域の最大範囲はどこ迄にするか。撤退すべき地域はないか。
B業界と客層を点検。1位を目ざす業界と客層はどれとどれにし、業界と客層の範囲はどこ迄にするか、カットすべき客層はないか。
この3つは経営の源のお客を作る大本になるので、3つを点検するときは、いろんな角度から検討しなければなりません。
C営業方法を点検。これは前に説明した商品、地域、客層の3つに対して、どのような方法で新しいお客を作るかになります。1つの方法だけでは偏りが生じるので3とおりの方法が必要になり、しかもこの3つは、同業者よりレベルを高めなければなりません。
D顧客維持の方法を点検。これは一度取引したお客を失わないで、維持する方法になります。お客に不便をかけず、お客から好かれて気に入られ、忘れられないようにすることになります。
以上の5つはお客を作るときに直接関係するので、時間をかけて点検しなければなりません。もしこの5つの決め方が間違っていたら、あとに続く組織と資金は意味がないものになります。
このあと、仕事に対する人の配分などの組織作りと、経営をするときに欠かせない資金の配分と経費の配分を同じように点検します。
これらを点検して問題点が見つかったら、すぐ手直しをするかカットします。こうすると粗利益を作り出す経営システムの性能が良くなるので、業績が良くなります。今は非常事態です。総点検を急がなくてはなりません。
■目次■
ランチェスター法則による経営総点検の進め方
1章 経営の基本原則を再確認
1. 点検する項目を明確にする
2. 利益性の原則
3. 戦略の意味を正しく理解
ランチェスター戦略を理解
A. 強者の戦略
B. 弱者の戦略
2章 経営総点検の進め方。
1. 商品を点検
A. 重点商品を決定
B. 商品の範囲を狭くする
2. 地域を点検
A. 重点地域を決定
B. 地域の範囲を狭く
3. 客層を点検
A. 重点客層の決定
B. 客層の範囲は狭く
4. 営業方法を点検
A. 製造業や卸会社は流通経路を点検
B. 新規客の作り方を点検
5. 販売戦術を点検
6. 顧客維持を点検
7. 組織を点検
8. 資金と経費を点検
A. 資金型企業
B. 経費型企業
9. 社長の実行力を点検
A.時間を拡大
B.質を高める
10. 経営効率を高めるには経営全体の整合性が必要
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